カテゴリ:books( 242 )

GO/金城一紀

f0089775_17302556.gifその昔、窪塚洋介と柴崎コウの映画は観たけど、今回は原作を。

「ゾンビシリーズ」を読んだ時にはそんなに感じなかったけど、重い。

ストーリーは軽快で、主人公は友だちとはしゃぎ彼女と恋愛し、青春を謳歌しているんだけど、その底にはいつも「在日」という言葉がある。

自分の中に差別があるなんて思ってなかった。
でも、子どもが違う国籍の人と結婚したいと言ったら?
ヨーロッパやアメリカなら、なんとか許すのかも。
でも、中国や北朝鮮と言われたら?
その人だけで判断出来るだろうか。

若い時なら、これを読んで偏見をなくしたとか言えるんだろうけど、今は深く考えるきっかけになったと言える。

杉原の読書と音楽の趣味は朴舜臣と似てるから、金城さんの趣味なんだろうなぁ。
金城さんの映画評をのぞいてみたけど、かなり辛口だった。
[PR]

by liddell423 | 2010-12-07 17:42 | books

猫の名前/草野たき

f0089775_17212524.jpg「だれかといっしょにいないと、不安だった」

佳苗はベランダ伝いに紗枝子さんの家へ行く。
そして紅茶を飲み、銘柄を当てれば自分の好きな科目を教えてもらえる。
紗枝子さんはママと同い年。
子どもがいなくていつもきれいにしているから、近所では浮いている。
でも、夜遊びに付き合ってくれたり、ご飯をごちそうしてくれたり、秘密を共有している紗枝子さんは、佳苗にはなくてはならない人。
紗枝子さんが買ってくる猫のぬいぐるみに名前を付けるのは佳苗の役目だ。

ある日、佳苗は先生から、不登校の平野さんを見舞って欲しいと頼まれる。
佳苗に復讐したいからまた来るようにと脅迫する平野さん。
仲良しの絵里とは、紗枝子さんにお金を借りようとしたことを聞いて以来気まずくなった。
佳苗は紗枝子さんに罰を与えようと、彼女の誘いに乗らないことを決める。
でも、何もかも上手くいかない。
紗枝子さんは大人になりきれてないし、ママも紗枝子さんに嫉妬したりする。
佳苗や絵里は反対に大人になろうとしているみたい。

初めてこの本を読んだ時は、
「子どもの気持ちだけじゃなくて、大人の痛い気持ちを書く人だなぁ」
と思ったけど、中学生にしたら、佳苗や絵里はきちんと考えていると思う。
お母さんの大人げなさは仕方ないとして、この本で一番大人になれないのは紗枝子さんだ。

周りの大人から学んで、自分たちも大人になっていく「子どものための本」だと思っていたけど、大人になっても、一人になることが不安で仕方ない、大人になりきれない大人の本なのかもしれない。

異年齢の友人を持つことは良いことだと思うけど、年上なのに甘えられるのは限度があると思う。
拒絶した相手に
「死ぬかもしれないのよ」
って言われるのって残酷じゃないかなぁ。
どうやら、助かったようだから良かったけど。

来年の例会は「草野たき」さんを担当する。
そのとき読んだらまた違った感想を持つんだろうか。
[PR]

by liddell423 | 2010-12-07 17:20 | books

レウ゛ォリューションNo.3/金城一紀

f0089775_22355499.jpgどうやら読む順番を完全に間違えたらしい。
でも、それはそれで面白かったけど。

前に読んだ二作で、ただもんじゃないなと思っていた高校生たちの、ただもんじゃない理由がわかった。
知性派南方は、やっぱり頭良かったんだ。
「SPEED」ではもう居なくなっていたヒロシや、もうひとりいるくらいの感じの萱野のこともわかって、なんだか友だちの打ち明け話を聞いたみたいに嬉しかった。

「レヴォリューション No.3」は彼らがゾンビーズになった理由。
それは彼らの恩師ドクター・モローの言葉から始まる。
「君たち、世界を変えてみたくはないか?」
優秀な遺伝子を遺すため、彼らの聖和女子文化祭乱入は始まったのだ。
最終学年で大方の目的は遂げたものの、ヒロシを病気に奪われてしまう。
彼らの精神的支柱だったのに。

「ラン、ボーイズ、ラン」は、みんなで沖縄にヒロシの墓参りに行くまでの話。
苦労を惜しまなければ金は稼げるもんだよな。
「史上最弱のヒキを持つ男」山下に、つい旅費を預けたために、また一から稼ぎ直すゾンビーズ。
そして、奪った奴らからはきっちり返して頂く。
そのフットワークと、回りで彼らをサポートする大人たちが格好良い。
そして、南方のラウ゛ストーリィだったりする。

「異教徒たちの踊り」はヒロシのエピソード。
事件に巻き込まれるのは南方だけど。
「おまえはタフな人生をおくるかもしれない。傷ついてダウンすることもあるだろう。でも、なにがあっても、踊り続けるんだ」


やっぱり人間的にカッコいいヤツになりたい。
[PR]

by liddell423 | 2010-11-23 22:22 | books

反撃 草野たき

f0089775_081799.jpg
この広い世の中で
だれかとだれかが
知らず知らずのうちに
かかわって、
はげまされたり、
力づけられたりして
いるのかもしれない。


草野たきさん、初の短編だそうです。
そして初の「あとがき」もついています。

中学生の女の子たちの思い通りにいかない日常。
それに不満を持っていて、でも、何かがきっかけで反撃に出る。
登場人物が少しずつリンクしている。

草野さんはもう大人だから、子ども目線だけじゃなくて大人目線もしっかりしてるとこが良いなと思う。
[PR]

by liddell423 | 2010-11-22 00:08 | books

SPEED/金城一紀

f0089775_20412444.jpgThe Zombies Series

朴舜臣たち、高校生が活躍するシリーズの第3弾。
レヴォリューションNo.3と間違えて読んでしまった。
「フライ、ダディ、フライ」が面白かったので、このシリーズを読みたかった。
これも面白い!

常々、学校のお勉強が出来るより、機転が利く方が本当は頭が良いんじゃないかと思っているので、こういう「おちこぼれ」が活躍する話は大好き。
ぜったいかっこいいと思うんだよね。

聖和女学院1年生の岡本佳奈子は、家庭教師だった彩子の自殺を不信に重い、彩子の友人中川に相談に行った帰り、3人の男たちに襲われそうになったところを、朴舜臣たちに助けられる。
事情を聞いた南方は佳奈子に、このまま警察に行くか真相を突き止めるかを選択させる。
佳奈子は真相を突き止めることを選択し、舜臣に自分で自分を守れるようになりたいと教えを請う。
その間に南方たちは、彩子の自殺に繋がる中川と学園祭のことを調べていく。

佳奈子に格闘技を教える舜臣が、ジャージ姿を見て懐かしそうにするとことか良かった。
もてもてのアギーが「ゴッドファーザー2」の台詞
「この世界で確かなことがひとつある。歴史もそれを証明してる。人は、殺せる」
を引用する。
これって、金城さん脚本の「SP」でも使われてる。
そういうのもうれしい。

いつものように強引なやり方で、南方たちは世界を変える。
舜臣は土壇場で助けにくる。
でも、最後に頑張るのはやっぱり主人公で、彼女の生き方がしなやかに変わっていくのが清々しい。

女の子の佳奈子は、自分がいては彼らの枷になってしまうと離れていくが、アギーのママの言葉で自分も飛べることに気づく。
佳奈子と彼らの世界がいつか重なることもあるんだろうか。
[PR]

by liddell423 | 2010-11-16 08:42 | books

光媒の花/道尾秀介

f0089775_0255166.jpg第23回山本周五郎賞受賞作。
直木賞は逃したんでしたっけ。
リクエストしてからが長かったので、読みたかった理由を忘れました。

「隠れ鬼」「虫送り」「冬の蝶」「春の蝶」「風媒花」「遠い光」の6章で出来ています。
ミステリーでもホラーでもない、初めて読む雰囲気の道尾本でした。
前半は救いがない感じの重い話でめげましたが、後半から少しずつ明るくなり、最後には救われたような感じで終わりました。
前半だけで終わってたら、「向日葵の咲かない夏」みたいに嫌いな方に入ってたかも。

それぞれが違う単編のようで、各章がリンクしていて、伊坂さんの「終末のフール」みたいな感じかな。
最初の主人公が最後の章で少し救われるとことか、巧いなぁと思います。

ワタシは「風媒花」が好きでした。
お姉さんの病状も、弟のための嘘だとしたらすごいなぁと。
そのお姉さんが悩む「遠い光」も好き。
学校の先生のお話は「告白」よりこっちの方が良いです。

「光媒の花」ってどういう意味なんだろうと辞書を引きましたが、載ってませんでした。
どうやら「風媒花」から連想した道尾さんの造語のようです。

「光媒の花」についての道尾秀介氏のインタビューを見つけました。
こちらからどうぞ→道尾秀介インタビュー
[PR]

by liddell423 | 2010-11-15 00:21 | books

オー!ファーザー (a family)/伊坂幸太郎

f0089775_0104599.jpgやっと届いたリクエスト本。
本の表紙には「リクエスト者が、多数おられますので、読書後は、早めにお返しください。」のお言葉。
延滞常習者のワタシにプレッシャーをかけてるんですね・・・。


普通の高校生、由起夫には4人の父親がいる。
賭け事の好きな鷹、元ホスト女性にもてる葵、マッチョな中学教師の勲、冷静な大学助教授の悟。
四股をかけられていた四人は、彼女の妊娠がわかったとき、父親が誰かはっきりすることよりも、四人一緒でも、母と暮らすことを選んだのだ。

確かに変わった状況だけど、どんなお話になるの?と思っていたら、知事選や不登校のクラスメイトや賭場の支配者に巻き込まれて、由起夫は大変な目に遭う。
そして、ピンチのときに四人の父親がヒーローのように(実際にはジェイソンのようにだけど)、彼を助けに現れるのだ。


伊坂さんの小説の面白さは、いろんな伏線が最期に「しゅっ」って一つになるところだと思ってたので、めでたしめでたしのこの終わりも、何だか物足りなかった。
物語の緩急は十分楽しいし、キャラクターも魅了的なんだけど。
新聞の「マリアビートル」刊行のインタビューで
「全員に面白いと思われる作品より、自分が好きな話を書く」ことに軸足を移した、と言っていたので、この辺の作品は過渡期なのかな。

「マリアビートル」リクエストしてこなくっちゃ。
[PR]

by liddell423 | 2010-11-08 00:45 | books

桐島、部活やめるってよ/朝井リョウ

f0089775_23571447.jpg気になるタイトルでしょ?
これ、高校生が書いたっていうんだから。


切り出し方も情景描写もかっこいい。
カッコつけてる。
でも、リズムが良くって読ませる。

各章の人物が桐島を語る訳でもなく、桐島自身も登場しない。
でも、何となく桐島がわかってしまう。
その構成も巧いし、各章のキャラクターも等身大で、もう過ぎた時代のことなのに身近に感じられた。
この時期にしか描けない心情を、この年齢でこんなに巧く書けるなんてすごいと思った。
久しぶりに面白かった。

ミカサとモルテンの違いを語るあたり、バレーやってたのかな。
[PR]

by liddell423 | 2010-11-01 00:06 | books

ヘウ゛ン/川上未映子

f0089775_22444151.jpg

「ダ・ウ゛ィンチ」で蒼井優ちゃんが紹介していた本。
「雷桜」はすっきり読めたけど、これは苦しかった。
14歳のいじめられっこのお話だったから。

「僕」はクラスメートの二ノ宮たちに日常的にいじめを受けている。
ある日、ふで箱の中に手紙が入っていた。
〈わたしたちは仲間です〉
手紙は同じ様にいじめられている女子のコジマからだった。

「僕」は父が再婚した「母」と暮らし、父はほとんど不在。
コジマも母が再婚し、貧乏だった前の父を忘れないため、身なりに構わず不潔にしている。
そんな娘をそのままにしているコジマの母に対し、「僕」の母は血の繋がらない息子とほぼふたりで普通に暮らしている。
ふたりで葬式に行ったときや、「僕」のいじめを知ったとき、斜視は手術すれば治るかもと相談されたときとか、親子関係じゃないけど、良い感じの親身になってくれる大人な気がした。


この小説が異質なのは、「僕」と百瀬の会話なんだろうな。
二ノ宮の一番近くにいて、わりといじめを見ているだけの彼に、「僕」はいじめをやめてほしいと話す。
ところが百瀬は
「なぜ?」
と問い返すのだ。
彼の理屈がもっともらしくて、納得しそうになる。
でも所詮それは強者の理屈で、より強くいなければ、いつまでもそんなことは言ってられない。
愛する妹を守りきれなかったとき彼はどうするんだろうか。


特別であろうとするあまりやせ細っていく「コジマ」
斜視を手術し、新しい世界を手に入れる「僕」

今はひとりでも、いつか世界を共有できる誰かが現れるよ。


「コジマ」が「ヘウ゛ン」と言った絵はシャガールかなぁ。
[PR]

by liddell423 | 2010-10-04 22:44 | books

雷桜/宇江佐真理

たぶん、映画の原作でなくて、蒼井優ちゃんの好きな本じゃなかったら読んでないと思う。
それを知らなくて、映画を見た後でも読んでないと思う。

出会えて良かった。

本当に美しい文章で、美しい言葉で、美しい情景で、美しい物語だった。

なんで悲恋なのにこんなにはまったかというと、たぶん、斉道と雷の出会いと別れに割かれたページ数が少ないからじゃないかと思う。
物語の中心はふたりの身分違いの恋なんだけど、その舞台を用意するまでに、遊が雷となった経緯や斉道の置かれている立場、ふたりの人格形成みたいなものが、他の人の目を通して丁寧に語られている。
それが丁寧だから、ふたりが一気に惹かれあっても、ふたりで別れを選択しても、するっと納得できてしまえたんだと思う。

そして周りの人たちがみんな魅力的。
まあ、ちょっとみんな出来過ぎの人たちだけど。
元気だけが取り柄の妹思いの兄ちゃん助次郎も、斉道を見守り続ける榎戸さんもかっこいいし、弱い母のようで芯は強いお母さんも、突然現れた小姑をいびってるように見えたのに、実は良い人の兄嫁も素敵。

もちろん主人公のふたりは良い。
庄屋の娘でありながら誘拐され山で育てられ「狼女」と呼ばれながらも、素直でまっすぐで人の気持ちに寄り添おうとする雷(遊)。
将軍の子として生まれ、四歳で母親から離され清水家の当主となり、わがままで人を見下し、重圧に耐えきれず奇行を繰り返す。
助次郎と出会い少しずつ変わっていき、遊といることで成長していく斉道。
最初いやな奴なのに、恋に身を任せて勝手なことしたりしないで、自分の役目を果たしていくとこなんかかっこいいなぁ。


映画の前に原作読むのをためらってたけど、読み始めたら止まらなくて夜中までかけて完読して、後半泣きっぱなしだったから、次の日目が開かなかった。

次は優ちゃんがダヴィンチでお勧めしていた「ヘヴン」を読みます。

More 映画
[PR]

by liddell423 | 2010-09-22 22:48 | books