ハンニバルライジング/トマス・ハリス

「我、いかにして怪物となりしか。」

1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。彼らは3年半生き延びたものの、優勢に転じたソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれて両親は死亡。残された12歳のハンニバルと妹ミーシャの哀しみも癒えぬその夜、ロッジを襲ったのは飢えた対独協力者の一味だった……。ついに明かされる、稀代の怪物の生成過程!

小説はやっぱり深い。
映画で見たときは
「バットマンといい、怪物が出来上がる課程には日本が絡むのもなの?」
とちょっとげんなりしたけど、日本に関する描写が詳しい。
よく勉強してるなぁと思った。

映画には登場しない侍女の千代と千羽鶴を折るシーンがあったり(紫夫人と千代は広島の出身。原爆にあった友人の為に鶴を折る)ハンニバルと夫人が和歌を交換したり、ハンニバルが宮本武蔵の絵に似せた水墨画を描いて小遣い稼ぎをしていたり、先祖が伊達政宗だったり。

ハンニバルがものすごく頭が良いことも(記憶の宮殿に必要なこと全てを納めている)マザコンでシスコンなのも分かりやすかった。
映画で見るとショッキングで残酷なイメージだったけど、小説にすると「美しい」と思えるところも。
原作者が脚本も書いているので大筋は変わらないんだけど。

クライマックス、一番殺したかった人間を追いつめて残酷な真実を知ったハンニバルが
「愛しています」
と紫夫人に告げる。
「あなたに愛を語る資格があるの」(せりふ忘れてしまった・・・)
とハンニバルを拒絶し一人帰国する。

何で?と思っちゃう。
彼女ならハンニバルのその後を止められたかもしれないのに。

読むのに時間はかかったけど、なかなか面白かった。

トマス・ハリス:
テネシー州生れ。ベイラー大学卒業。「ニューズ・トリビューン」紙記者、AP通信社デスクを経て1975年、『ブラック サンデー』で作家デビュー。その後は『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』及び『ハンニバル・ライジング』という、所謂“レクター四部作”しか著していない。
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by liddell423 | 2008-09-29 23:56 | books