マリアビートル/伊坂幸太郎

f0089775_23513068.jpg「人が読みたい作品ではなく自分が読みたい作品を書く」
そう宣言して書いた作品がこれ。

久しぶりに伊坂の本が面白かった。

犯罪者がカッコいいなんて、ほんとはいけないんだろうけど、犯罪者の中にもいいヤツと悪いヤツがいて。
ちゃんと、のうのうと生き延びさせてはくれないところが良いなぁ。

「木村」は息子を屋上から落とした犯人「王子」追って<はやて>に乗り込む。
「檸檬」と「蜜柑」は盛岡の有力者・峰岸の息子を奪還し、身代金とともに送り届けるため<はやて>に。
「天道虫」は車両内でスーツケースを奪う仕事を請け負い<はやて>に。
そして、<はやて>には過去に登場した「鈴木」や「スズメバチ」も乗っていて、やがて車両内は死体がいっぱいになる。

元殺し屋の木村のしぶとさや、木村両親の強さが良いな。
木村父の噂がちょこっと語られるとこなんか、伊坂っぽい。
殺し屋だけど、機関車トーマス好きの檸檬と、文学好きの蜜柑が、それぞれ文章を引用するとこ好きだし、なんだか憎めないキャラクターだった。
天道虫の不運っぷりも半端なかった。
それでも凄腕だったり、でも純粋だったり。
王子はこの中で、ただの中学生だけど一番悪人。
外見を利用して人を操り、苦しめることを楽しんでる。
そしてみんなに聴くのだ。
「なぜ人を殺してはいけないのですか」
鈴木の語る「国家が困る」説が良い。
それと
「みんな、なぜ人を殺してはいけないか聴くけど、他にもわからない禁止事項はたくさんあるのに」
そういえばそうだよね。
たくさんの禁止事項の中で人は共存してる。
一人だったらそんなこと必要ないけど、他者がいるから、いろんな禁止事項が必要になる。
そうか、一人じゃ生きていけないもんね。

次々に人が殺されるお話なのに、何だか楽しかった。
前作「グラスホッパー」はあまり良い評価じゃなかったのになぜかな。
自分の気持ちがその時と違うのかな。

今、もう一度読み直してます。
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by liddell423 | 2011-05-24 23:56 | books